そうは言っても複数口座は便利
最近はどこの銀行も普通預金口座を2つ以上開設する際は、いろいろとうるさくなってきています。私も2口座以上開設するとき、どんだけ苦労したことか…(もちろん開設できなかったこともあります)1つの銀行で複数の普通預金口座を開設すると、どんなメリットがあるでしょうか。以下にまとめてみました。
複数口座のメリット
- 貯蓄用・口座振替用・ATM出金用などのように口座を分けて管理する際、それぞれの口座からの資金移動が無料でできる。
- 口座を分けているので、収支が分かりやすい。
- ネットで口座間資金移動ができるので、ATMにわざわざ行かなくてもその口座における入出金と認められ、休眠口座になるのを防げる。
- 1つの銀行の場合、複数の口座があっても手続きがワンストップで済む。
などがあげられるでしょう。逆にデメリットもあります。
複数口座のデメリット
- 絵柄が同じ通帳なのでどれがどれか分からなくなる。(総合口座通帳と普通預金口座通帳で柄が違ったり、複数の柄から選べたりする銀行もある。)
- 金融機関破綻時は、複数口座があっても保護されるのは¥10,000,000とその利息まで。(複数の銀行に分けていれば、それぞれ¥10,000,000とその利息が保護される。)
くらいでしょうか。預金は¥10,000,000以上の預入はしないし、きちんと通帳の管理もできるという方は、1つの銀行で複数の普通預金口座を開設してもいいかもしれません。ですが冒頭でも言ったように、複数の普通預金口座開設はハードルがグッと上がります*1。そこで、普通預金口座の開設時は窓口のテラーさんは一体何をやっているのか、簡単に見てみましょう。
口座開設時のテラーさんの動き
- 顧客に普通預金口座開設の用紙に必要事項を記入してもらう。
- その情報をもとに、全店CIF*2照会を掛ける。(名前等を入力して、他の支店に口座がないか確認すること)
- 名前がなければそのまま口座開設・名前があれば「〇〇支店にお口座をお持ちのようですが、そちらの口座は今どのようにお使いですか?」など使用状況や複数口座開設理由を質問される。
- 行員さんが納得すれば、口座開設。納得させられなければ、謝絶または上席対応。
このような具合です。複数の普通預金口座を開設するにあたって、上記の項目ごとにコツをお伝えしようと思います。
口座開設時のコツ
1のタイミング:もうこの時点で「2つ目の普通預金口座開設」の旨を伝えましょう。全店CIF照会されるので、いずれバレます。事前に言っておかないと、極論ですが「こっそり2つ目を開設しようとしたのか?」などと疑われて、後のハードルを無駄に上げてしまします。
2のタイミング:行員さんが全店CIF照会を掛けて本人口座が見つかった場合、どうして2つ目が必要なのかを論理的に説明しましょう。
納得できる口座開設時の理由
論理的な説明って何だよ!?っと思われた方、どんな理由なら行員が納得しうるか、もちろん傾向でしかありませんが、お伝えします。理由の強さを独断と偏見で5段階に分けました。(★が多いほど、行員さんが納得しやすい)
1.貯蓄用・口座振替用に分けて管理したい:★★☆☆☆
直球ですが弱いです。銀行によっては貯蓄預金*3を用意している場合もあるので、そちらを勧められる可能性あり。キャッシュカードもついてきますので、それで十分ならここで折れましょう。(給与振込や口座振替には使用できません。)
2.家賃等振込時の振込手数料節約のため:★★★★☆
振込先口座番号や名義人を尋ねられますが、けっこう強いです。きちんと振込先の口座番号等を控えて来店しましょう。(行員さんはその口座番号等からCIF照会を取ります。)ネットバンキングで同一銀行同一支店宛振込は振込手数料無料でも、他支店宛振込は有料のこともあります*4。ただし、みずほマイレージクラブなどの優遇措置を享受できない状態であることが絶対条件です。享受できる状態の場合、同一銀行他支店宛振込も振込手数料無料となるからです。ちなみにATMから振り込む場合、振込手数料と口座開設店は関係ありませんので「どのような手段でお振込予定ですか?」と訊かれて、間違っても「ATMから振り込みます。」とは絶対に言ってはいけません!その瞬間に複数の普通預金口座の夢はついえます。行員はこういう罠を仕掛けてきます。
3.証券会社からの売却代金等受け取り口座にしたい:★★★☆☆
基本的には1番の理由とほぼ同じなのですが、証券会社に口座を持っているということは、資産運用に興味がある、もしくは既に運用を始めているということ。株式等の売却資金が入ってくる可能性も大いにあるので、その流れでうちの支店でも投資信託など資産運用してくれたら…という期待を抱かせることができるので、1番よりかは強い理由となります。「株式をご売却されたのですね。では、それよりかは値動きの少ないこの投資信託などはいかがでしょうか?」などとセールスを受ける可能性も。受け流せるようしておく必要があります。
4.給与振込のため会社から銀行の支店まで指定された:★★★★★
これが最強です。名刺を求められたり勤務先を尋ねられたりしますが、行員はその情報をもとにCIF照会を掛けて、その支店の取引先企業と判明すれば特に問題なく口座開設までこぎつけます。
5.他支店ではできない取引をしたい:★★★★★
これもある意味最強。前の記事にて、他支店でできる手続きとできない手続きをまとめました。
要は「他支店ではできない取引をここでしたいので、お願いします。」ということ。3番とも関わってきますが、その支店でしかできない取引というのは、資産運用や住宅ローン関係のものが多い、つまり大きなお金が動く可能性のある取引ということです。みずほ銀行を例にとりますが、運用系商品の口座開設・購入をする際は、その支店に普通預金口座を開設していることが最低条件となります。つまり、この最低条件を利用するのです。銀行員だって人間です。銀行側に有利な内容なら、2つ目以降の口座開設の門戸は広がります。ただ本当にその取引をする場合以外、この方法は使ってはいけません。普通預金口座開設が終わって、いざ運用系商品の口座開設に移ろうとした途端に、「やっぱ辞めます。」はタチが悪すぎます。絶対にそんなことをしてはいけません。やるなら資産運用等をする覚悟を持って、臨んでください。国債の場合、発行して1年後に中途売却ができますので、それを一つの目安としてもいいかもしれません。
いかがですか?たかが口座開設、されど口座開設。行員さんと顧客との間には、見えない火花がバチバチと散っているかもしれません。いざその駆け引きに勝ち、見事2つ目の口座を開設した暁には、銀行側にも「この人に2つ目の普通預金口座を開設してあげて良かった。」と思ってもらえるような取引・使い方を目指しましょう。